2022
February

02

日本の戦略的な課題

揺らぐ防衛産業基盤

防衛産業基盤の維持・強化は、日本の安全保障にとって極めて重要です。防衛産業の近代化と技術革新の必要性は、周辺地域における緊張の高まりによって一層強まっています。しかし、2014年の大改革にもかかわらず、日本の防衛市場は、唯一の顧客である防衛省の依存から脱却できずに、衰退傾向にあります。国際市場の開拓と規模の経済の創出に失敗したため、メーカーの収益性は低く、米国を中心とする海外からの装備品の購入が増加しているのが現状です。

政府は2013年以来初めてとなる防衛計画の大綱(NDPG)、中期防衛計画(MTDP)、国家安全保障戦略(NSS)という国の重要な外交・安全保障政策の3文書の改訂を、2022年末までに行うとしています。これらの改訂は、次期通常国会で審議されることとなっている経済安全保障関連法案によって裏付けられます。与党である自民党の議員は、この法案策定の準備において、同盟国との防衛技術協力や装備品輸出を促進し、国内の防衛サプライチェーンを活性化させる方法について吟味しています。

その他の政府の取り組みの一環として、防衛費の増額があります。昨年8月に防衛省が発表した2022年度予算の概算要求では、防衛産業の強化が第一項に明記されました。その後に岸田内閣が決定した防衛予算は5兆4000億円(470億ドル)と過去最高を記録し、そのうちの22億円(2,000万ドル)が防衛産業強化のために割り当てられています。しかし、防衛産業の現状と日本に迫る地域的脅威の大きさを考慮すると、このような数字は未だ不十分です。

今年2022年は、極めて重要な年となります。このウェビナーでは、産業協力の必要性、制度的な障壁、世論などを考慮し、国際競争力のある防衛産業を作るための方法について議論します。

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