2022
May

26

経済安全保障の基礎

航空宇宙・防衛への示唆

5月11に国会で、来年の春から施行される経済安全保障推進法が成立しました。 

この新法は大きく分けて、重要インフラの保護、サプライチェーンの安定化、最先端技術開発における官民協力の促進、機密技術の特許保護という4つの柱から構成されています。 

世界の安全保障環境の不確実性が増していく中、国防の基礎への取り組みとして経済発展への支援が進められています。日本の国力が、経済の活力と革新的な能力によって大きく支えられている中、防衛産業はまさにこの2点の接合点に位置しています。

経済的安全保障は、国内生産、国際貿易、社会的・文化的規範、政治的支援、市場アクセス、効率性など、絶えず変化する環境の影響を受ける複雑な社会経済的構成要素です。経済の外的・内的脅威を包括的に捉えることこそが、国家安全保障の本質的な基礎となっていきます。 

日本は、2020年に内閣官房国家安全保障局内に経済班を設置し、2021年には岸田内閣で政府として初めて経済安全保障担当大臣を任命するなど、「経済安全保障」を政府の正式な政策として位置づけた先駆者です。 

しかし、航空宇宙・防衛産業界にとって最大の懸念は、法案を起草した政府の委員会に軍や産業界の専門性が欠けていることです。主な懸案には、安全保障措置や罰則などの過度な規制の結果、技術革新や協力が妨げられるという行き過ぎの状態と、日本の同盟国との互換性という本質的な目標が中心に据えられていないという行き届かなさが挙げられます。相互運用性は必須であり、今後明確に定義される必要性があります。 

本セミナーでは、日本の経済安全保障政策と航空宇宙・防衛産業との歴史的関係、この新法の長所と短所、そしてこの先1年で明確化するであろう点に関して吟味します。

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